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実証研究

組織の両利き性を促進するミドル・マネジメントの役割とその作用の研究

組織科学 Vol.57 No.2: 19-33(2023) / 2023-01-01

朝山 絵美

研究目的

日本の大企業を対象に、組織の両利き性(新規事業活動と既存事業活動のバランス)を促進するために、ミドル・マネジメントが担うべき主体的な役割とその作用を明らかにすることを目的とする。従来研究がトップ中心で、ミドルをフォロワーとして扱いがちであった点を課題として位置づけている。

調査・実験デザイン

定性・定量の混合研究法を採用し、予備調査(インタビュー)で要因抽出と因果モデルの仮説化を行った上で、本調査(質問紙)でモデルの信頼性・妥当性を検証する設計である。予備調査では半構造化インタビューを行い、KJ法で要因を構造化して仮説モデルを図化した。

参加者・データ

予備調査は2021年7月に、従業員1,000人以上の大企業の経営者(トップ)6名(メディア2、IT2、サービス2)にオンラインで個別半構造化インタビュー(各60分)を実施したデータを用いる。本調査として質問紙調査も実施したと記載されるが、本文抜粋内には対象者数やサンプリング、回収状況などの詳細は示されていない。

評価指標・分析手法

予備調査の質的分析はKJ法によりラベル化・グルーピング・図解化・叙述化を行い、両利き性に関連する要因分類(6分類・16項目)と要因間の因果・相関関係を仮説化した。妥当性確保として、ピア・ディブリーフィングおよび協力者によるメンバー・チェックを実施したと述べられている。質問紙調査では新規事業活動・既存事業活動を従属変数とし、モデルの信頼性・妥当性を検証するとしているが、具体的な統計手法や指標は抜粋内では不明である。

主な結果

インタビュー分析により、両利き性に関連する要因は〈積極的な企業提携活動〉〈文化の醸成〉〈ミドルのビジョン形成〉〈両利きの組織・制度設計〉〈トップによるミドルへの権限付与〉〈トップのビジョン展開〉の6分類に大別され、計16項目が抽出された。特に新たな要因として、ミドルの主体的役割である〈ミドルのビジョン形成〉(「ミドルが強いビジョンを保有」「経営を担える人材育成に積極的」)が見いだされ、これが文化醸成や企業提携活動を通じて両利き性に作用するという仮説が示された。

示唆・課題

両利き性促進において、トップだけでなくミドルが主体的にビジョンを形成することが重要であり、そのことが企業文化の醸成や積極的な企業提携活動を促し得る点が示唆される。課題として、既存研究ではミドルのフォロワー的側面に焦点が偏っていたため、中心的立場としてのミドルの役割と影響プロセスの解明が不足していた点を指摘している。

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