研究目的
組織の両利き性(新規事業活動と既存事業活動のバランス)を促進するうえで、ミドル・マネジメントが担うべき主体的な役割と、その作用メカニズムを明らかにすることを目的とする。従来研究がトップ・マネジメント中心で、ミドルを主にフォロワーとして扱ってきた点を課題として、日本の大企業に焦点を当てて検討した。
調査・実験デザイン
定性・定量の混合研究法を採用した。予備調査として大企業トップへの半構造化インタビューを行いKJ法で要因と因果モデルを探索・仮説化し、その後に質問紙調査で仮説モデルの信頼性・妥当性を検証する設計である。
参加者・データ
予備調査では、従業員1,000人以上の大企業における経営者6名(メディア、IT、サービス各業種)に対し、2021年7月にオンラインで1人60分の半構造化インタビューを実施した。質問紙調査も実施したと記載されるが、本本文範囲ではサンプル数や対象属性などの詳細は示されていない。
評価指標・分析手法
定性分析は、インタビュー発話をラベル化・グルーピングして構造化するKJ法により、両利き性促進要因を抽出し要因間関係を図解化して仮説化した。妥当性確保としてピア・ディブリーフィングやメンバー・チェックを実施した。定量側は、予備調査に基づく質問項目で説明変数を設定し、新規事業活動・既存事業活動を従属変数としてモデルの信頼性・妥当性を検証したとされるが、具体的手法名は本文範囲では不明である。
主な結果
インタビューのKJ法分析により、両利き性に関連する要因は〈積極的な企業提携活動〉〈文化の醸成〉〈ミドルのビジョン形成〉〈両利きの組織・制度設計〉〈トップによるミドルへの権限付与〉〈トップのビジョン展開〉の6分類(計16項目)に整理された。特に新規発見として、ミドルの主体的役割である「ビジョン形成」(強いビジョン保有、人材育成に積極的)が抽出され、これが文化醸成や企業提携活動などを通じて両利き性を促進するという因果モデルが仮説化された。
示唆・課題
両利き性の実現には、トップだけでなくミドルが主体的にビジョンを形成することが重要であり、それが企業文化の醸成や積極的な企業提携活動を促して新規・既存事業の両立に繋がる可能性が示唆される。既存研究がミドルをフォロワーとして捉えがちだった点を補完し、ミドル中心の作用メカニズムを検討すべき課題を提示する。一方で、質問紙調査の具体的なサンプルや分析結果の詳細は本文範囲では確認できず、一般化可能性や検証方法の明確化が今後の論点となる。
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